ジャパンライフの元経営者が逮捕されたとの報道です。今回は流し読みですが3年前の破産報道の時はかなり驚きました。
まだやっていたんだと。
私が子供の頃、既に新聞を賑わせていた有名かつ古株の詐欺です。
今頃ジャパンライフで驚いた
この手の詐欺商法に関わる経営者(というより首謀者)や社員は、他でも詐欺まがいの実績ありが殆どですから、とっくに会社を畳んで別な名前で騙り(かたり)稼業に精を出しているものと思っていました。
創業が1975年(昭和49年)です。いまどきジャパンライフで引っかかる人も居ないだろうと考えていたので驚きが大きかったのです。
なんといいますか、自分も含めてですが、人は信じたい説明しか信じないもんだなと実感する話です。
ついでにいえばマルチ商法や預託商法、つまりネズミ講は会員も半ばわかっていて知人を誘う。
毎度毎度被害者の会が作られますが恐れ入ったものです。
営業はマルチ・預託の「儲け話」に出くわす商売
商売柄お客様や協力会社様と個人的に親しくさせて頂くことが多いせいですが、営業をしているといわゆる「強制的な儲け話」に出くわすことがあります。
全てお断りしますが、法人営業で言えば稀に立場と取引を盾に半ば強引に迫ってくることも。
数年前とある国内最大手の製造メーカーで出入業者を狙った違法賭博の勧誘が幅広く行われたことがあります。
私はお断りしましたが出入り業者の営業の中には断りきれず個人で十数万程度渡した人が数人居ました。
本人は賭け事に何の興味もなかったのですが、その会社との取引が大きく個人でカブろうとしたらしい。
後でその会社様はもみ消すために大変苦労されたようですが、表沙汰になるのを恐れて顧客側の当事者はすぐ解雇されませんでした。
明らかな違法行為ですら明るみにならないだけで実際はあるものです。
いわんやジャパンライフや安愚楽牧場のような預託商法やマルチ商法ならば無論のこと、また詐欺とは言えないがグレーな所謂「ネットワークビジネス」ならばアムウェイなど、手を出す輩は本当に多い。
長年の経験からこの手の話は持ちかけられた時点でその人間と完全に縁を切ります。欲と二人連れでそこまでやる以上信用できない。
また小悪事のみを重ねるため滅多に逮捕や起訴をされない分、今後も改心する見込みのない手合いだからです。
なお預託であれマルチであれ、この手の詐欺は会員が会員を増やさないと利を得られません。
縁を切らないと自分も加担する羽目になります。
被害者に2種類あり
今回は独居老人を標的にしたとのことで悪質性が高いと報じられています。
新聞が勧善懲悪をやる時のお決まりです。
気の毒ではありますが私は被害者は2種類に分けられるべきと思います。
迂闊(うかつ)な人と、年寄る前から儲け話に目がない人です。
迂闊な人は気の毒です、判断力に欠けることは罪ではありません。老人ならば寂しさに付け込まれたこともありましょう。
強引な勧誘はそういう方にとっては一種の脅迫で、執拗に誘った友人とかいう連中や営業は本物の罪人です。
ここで興味があるのは儲け話に目がない人です。
被害に遭ったことは気の毒ですが老齢であっても同情に値しません、若い頃からその手の話に進んで乗る人物だからです。年寄りというならば長年義理を食い散らかすようなことをし続けてきたでしょう。
また上記の通りこの手の商法は会員が会員を増やして初めて成り立ちます。
「ねずみ講」と呼ばれる所以ですが欲をかくばかりか自分の利のために他人をも巻き込むのです。
但しストレートに金が欲しくて他人を騙したとは人間なかなか思いたくないものです、だから言い訳を探します。
元締めの詐欺師はわかっていてそれなりの理由を用意してくれるのです、お互い同罪の理由です。
会員や元社員とやらが口を揃えて「会社の説明を信じた」とやるのはそれを自分の言い訳にしてきたからです。
本当はなんであったか皆ちゃんと知っています。
人は信じたいもののみ信じる
営業をしていて感じるのは、人は自分が信じたいもののみ信じるということです。
お前の説明が下手なのだというかもしれませんが、
説明ではなく証拠となるものをいくら示したところで見たくないものは見ないし認めもしません。
ジャパンライフが経営破綻する前、被害者に年6%の利息など危険だから止めなさいと言っても恐らくいうことを聞かないでしょう。
いまどき年利6%など信じるのは少数派だという人は多いでしょうが、「1ヶ月で10キロ痩せる」「コロナに納豆が効く」「燃費を改善するエンジン添加剤」ぐらいなら買う人はたくさんいます。
かたちが違うだけで本質は同類です。
こういう皆さんにお止めなさいというと例外なく不機嫌になります、親切のつもりで理屈を示すほど怒るのです。
頭の良し悪しなど実はあまり関係ないと思っています、某大手外食グループの経営者が詐欺にあった、とする週刊新潮の記事などジャパンライフ以上に印象的です。
M資金なんて嘘ですお止めなさいと進言したら、きっとその経営者は相手をクビか出入り禁止にしたことでしょう。
繰り返しますが所詮見たいもの・信じたいものしか見ないし信じません。こういっている私がそうだとわかっている。
営業の心得としてそういう時は黙って話を聞いています、言いたいことを全部言わせる。
その上でご本人が正しい、あるいは好んでいると思われる証拠や説明を行います。
そうすると売れる、成約する、受注できる。
論より証拠といいますが、証拠を見せたところでその人の中で結論は決まっています。
営業をしていて論ずるところの虚しさを感じる瞬間です。
なお売れる営業は相手の内なる結論を引き出すことに長けており、且つその結論に従う証拠を準備します。
無論私にはそんな器用なことはできません。ゆえに成績は悪い。
信じたいがゆえに泥沼にはまる、人間怪しいもんだなとつくづく思います。