考えたらもう一年の間接待の機会はありません。製造業ではここ10年ほど会食・接待がたいそう減りましたが、それでも一件も無しとは。
感染を防ぐとなれば仲間内でも飲まない、緊急事態宣言下であればなおさらでしょう。
ところで菅総理をはじめとする政治家の会食がけしからんと轟々たる非難です、コロナ蔓延で自粛、ましてや緊急事態宣言のなか議員たるものが酒席とはとのこと。
つまらない指摘を気にせず政治家はどんどん会食をすればよいと思っています、むしろ必要なときです。
接待を非難する人は「接待に縁のない人」
接待には二種類あって会社のかねでタダ酒を飲むためのものと、会議室では話せないことを話し合うために飲むものとがあります。
政治家の接待・会食はどちらかといえば後者です。
意見調整をさほど必要としない、つまり明るいうちに片付く話は初めから官僚に任せるでしょう。
するとそもそも全てをオープンに会話するべきという人が時々いますが、それは何かを決めたことがない、あるいはそもそもその能力がない人の意見です。
営業からすると調整・交渉の類はできないため近づくを避ける人であります。
無論人のかねで飲むことに無上の喜びを感じるものもいるでしょう。言われるまでもなくこの商売でそんな手合いは山ほど見ました。政治家にもそこそこいるでしょう。
社内調整は才能そして一億の利害調整は難中の難
しかしそればかりに目がいくのは真面目というより了見が狭いとしかいいようがない。
今は緊急事態で、そうであれば多方面にわたる利害調整が必要です。そして日本のGDP総額は世界第3位なのです。
あちら立てればこちらが立たず、きわどい調整も必要でしょう。明るいうちに済む話はわずかです。
個人の仕事においてすら意見調整は容易ではありません、「社内調整は能力」と言われるではありませんか。
中小企業でもこれで心身を病む人が出ることは普通です。ましてや一億の民の利害調整ともなれば相当の難事です。
世界中で多くの死亡者も出る疫病、一方ではこれだけの失業や倒産・廃業。
小さな国なら可能かもしれませんが、世界有数の経済規模を相手に陰に陽に立ち回ることもせず一部の人間だけで短期間に決めるなど無理です。
これでもなお許せないのは真面目かもしれませんが、やはり接待されない人としか言いようがない。
なお真面目しかない人と口だけ達者な無責任人は、だいたいケチです。
繰り返しますが切所にあって営業が避ける人物です。
きれいなだけの正論は鋭くとも役には立たない
むろん接待は必要悪といっていいものです。ただしこの世は必要悪と矛盾に満ちているところと申し上げたいのです。
これを排除していくと良いようで、かえっておかしなことになる。
ある食品が身体に悪いと見聞きした途端に一切食べなくなり、かえって病気になる人が増えましたがそれに似ています。
きれいなだけに舌鋒は鋭い、しかしものの役には立ちません。
少々タチが悪いのは、自分もまた世の中の理不尽によって生きているにもかかわらず、それが理解できないあるいはしたくないことです。
この非常時にきれいごとだけでは対処不能の事態に陥る。潰れる会社にはありがちで、現実にそんな様子も見受けられます。
政府の無策がコロナ流行を悪化させたというのが通り相場で、しかしあるべき対策とやらをきけば平時から非常事態に備えた設備・人員を準備せよというおよそ現実味のない思いつきです。
これのどこが対策でしょうか。
なお一応申し上げると私自身はほとんど飲めません。
接待は常に苦痛を伴うもので、我ながらよく20年以上も法人営業をしてきたもんだと不思議であります。