この商売で気をつけることは、顧客から「話が違う」と言われないようにすることです。
私たちの言葉でいうと「出来ることと出来ないことを明らかに説明する」となります。
産業用ですからある程度使いみちは限られているのですが、それでさえトラブルが起こる。説明のつたなさと受け手の理解力によるものです。
だまされたくない、これは今多くの人の関心事のようです。そのために通販サイトには製品レビューなるものがあふれています。
多く「もっと得な話を」と見えます、しかしあのレビューなるものをみても得はしない。どころかかえって損する機会を招く元と物売りとしてはお勧めしないところです。
その昔だます商売は、不動産、保険、中古車、そして株
昔は家と中古車と保険がだます商売の筆頭でした。家やマンションは手抜きが当たり前、中古車は走行距離や事故の有無を偽る。
保険は理由をつけて払わない、今払うようになったのは阪神大震災のおかげで、当時地震保険があてにならなかったことが非難されたからです。
加えるならば株でしょうか。日経に「山一銘柄」なんて言葉が平気で載るほどで、今なら捕まるインサイダー取引が平気で行われた、株屋のすすめる株は買うなと指南する本があったほどです。
先般のレオパレスがやった膨大な違法建築とその後を見ると家は未だ信用なりませんが、中古車や保険、そして株はだいぶましになりました。
それでもみなさんだまされないように身構えている。
それで世の中ずいぶんと過ごしやすくなったかといえば年々だまされたと怒る人は増えるばかりです。
減らないと思います、ここでの「だまされたくない」とはほとんど「得をしたい」と同じだからです。
だまされないように身構えている人がよくだまされる理由でもあります。
本当は大きく得も、ひどい損もないものです。
最大限のお得度を求めず、ゼロかすべてかなどと言わずごく普通に暮らしていく限り。
三流たるゆえんですが我がことに比べ他人のことはよく見えるもので、平々凡々たる一般人に相場外れの大きな得をする機会がやってくることなどまずありません、
私も含め凡人には損も得も相場通りという言葉通りの結果以外はない。
道に大金が落ちているのと同じようなもので、ほとんど出くわすに近い可能性です。
製品レビュー・得しようとして騙されるひとたち
あのレビューなるものを見ておりますと、そのほとんどはとるに足らない不都合を悔やみ呪う言葉ばかりです。
あんな些細なことが気になるようならば、日々さぞかし不愉快ばっかりで気の休まるときもあるまいと察しますが、あれは損をしたのではなく得にならなかったことを怒る内容で次はぬかるまいと身構えていますから終わりがありません。
営業として言わせていただきますとこんなふうにしじゅう得をしようと身構えているひとをある種の売り手は見逃しません。
投資、人材啓発、健康関連、無料体験など。
ついこのあいだのことでいえば、コロナ関連の噂に乗ってトイレットペーパーや納豆などつまらない買いに走ったものたちはだまされたくない人の本質を見事に表したと思っております。
個人的なことを申し上げますと、この仕事に就いて以来小売りをやらないのは一般消費者との直接の関わりだけはごめんこうむりたかったからです。
Amazonや価格.comのレビューなるものを見て頂ければわかるとおり、メーカー関係者として毎日あんなものに直にさらされるのだけは勘弁であります。
レビューなどお買い得情報またはだまされない、というより得をする情報なるものを発信し続けている人たちを見ると、好きになれないながらも物売りとしてはあれを毎日やれるとはある意味大したものと思わざるをえません。
無論近づきたくはない、私には無理です。なるほど結果として三流営業ですし、そもそもお得な話には縁が無いようです。